奪いあいエレアサイド

新しい順です。

奪い合いエレアサイド・12熱い初めてのキス

  謎の女リシャラが去った後。

「エドラスってどんな男だ!」

メラメラ嫉妬の炎を燃え上がらせるアンリ。

「どんなって素敵な人よ」
涙をふくシャラ。

メラメラ(殺す!エドラスとかいう男!)

「あのお、お金はいただいてますので選んでくださいますか?」

おそるおそる声をかける店員を完全無視な面々。

イビルはただエレアを強く抱きしめることしかできなかった。

雪獣族の巣である星に戻ってきて・・

黙り込むイビル

「イビルさん」

「・・・・」

「私、イビルさんの傍にずっといるよ?」

「でもお兄さんが直接迎えにきたら、きっと・・」引き離されてしまう

そっとエレアの手に自分の手をはわせる。

「私、イビルさんの傍にいる。本当よ」

エレアの手を取り指輪を見る。

「高そうな指輪だ。

王とか言っていたけどそれが本当なら、お兄さんの所へ行けば君は豪華な暮らしができる・・」

エレアを抱きしめる

「でも離せない!」

「離さないで!イビルさんが商人から私を助けてくれた時から、イビルさんのことずっと好きなの」

「君はまだ本当なら7歳だ」

「私はもう7歳じゃない」

「そうだ。もうエレアを子供とは思えない」

自分も幼い少女と合った瞬間から守りたくて離せなくて

愛しくてたまらなかった。

「好きだ」

「イビルさん!私も!」

2人の胸が熱くなる。

イビルの唇が自分の唇に重なって

記憶が一瞬心によぎる

父と母のキス

「エレア、お兄ちゃんのお嫁さんになるの」
(エレアもお兄ちゃんとキスするんだもん)

「エレア・・・そうしたいなら本当になれるのよ」

母の声が響き消えた。

その後はもう何も考えられなくて

深くなるイビルの口づけに翻弄され

ただしがみついているしかできなかった。

王の妃の妹

 

ボー然・・

お兄ちゃんが好きだと言ってくれた、長い髪だったのに。

 

女が濃紺の髪の束を腰の袋にしまう。

「エドラスへの土産だ」

 

「何てことをするんだ!髪を切るなんて!」

「ん?髪などまたのばせばいい。本人を連れて行くよりいいだろう?」

 

平然と言い、隅にいた店員にバサッと札束を投げる。

「それでこの女たちにサイズの合う服を見繕ってやれ。騒がせたわびだ」

 

「あの!エドラスさん元気にしているんですか?」

シャラが聞く。

 

「元気だ」

「・・・良かった・・」涙

「シャラ・・そのエレアの兄っていう男とどういう関係なんだ?」

アンリの目に嫉妬の炎がチラチラ。

「え?初恋の人よ」平然

がが~~~ん!!!固まる

 

 

「釣りはやる。貧乏そうだからな」

「余計なお世話だ!」

「イビルさん・・」

 

ふいにエレアの手を取ると指輪をはめさせる。

「お前にやる」

 

「こんな高そうな指輪もらえないわ」

慌ててはずそうとするけどぴったり張り付いたかのようにぬけない。

 

「エドラスは王である私の妃。お前は大切な妃の妹だ。身分にふさわしいものを身に付けろ」

 

「????」エレアには全然話がわからない。

兄は男でこの人は女の人なのに。

「妃?」

 

「奴隷商人のドローアがお前を攫おうと狙っている。

 

せいぜい守ってやるんだな、男。

そのうちエドラスを伴ってもう1度会いに来る」

 

黄金の髪をひるがえし女が去る。

 

エレアを強く強くと抱きしめるイビル。

 

 

続く

 

あなたの傍に

 

「渡さない!」

エレアをギュッと抱きしめる。

ズカズカ近づいてくる女。

エレアの頬を掴み、顔をグッと寄せる。

 

(女王様みたいに綺麗な人・・・)

 

エレアの大きなラピスラズリの瞳が湖面のようにユラユラきらめく。

「ふん。お前がエドラスの愛情を1人締めする妹か。なかなか美人だな」

 

「お兄ちゃんを知っているの?!」

「お前を連れて戻ると約束した」

「お兄ちゃん・・生きている・・」

溢れ出す想い。

殴られ地面に倒されエレアの名を呼ぶお兄ちゃん。

 

「エドラスが会いたがっているぞ、早く来い」

エレアをにらみながら

「もっと子供のように聞いていたが、私の聞き間違いか?」

「あ・・それは魔法の薬で・・」

「急ごう。凶悪な奴隷商人のドローアもエドラスを手に入れるためお前を探している。

エドラスの妹のお前のことはおろそかにはせん。行くぞ」手を引く。

 

「だめだ!」

イビルの声にハッとする。

「行くな!

その人が本当にお兄さんの所へ連れて行ってくれるかわからない。

それに・・君を離したくない!」

必死な顔のイビル。

 

エレアの心が激しく揺れる。

愛するお兄ちゃん。  大好きなイビルさん。

エレアを呼ぶお兄ちゃんの声が耳に響く。

 

「エレア!」

せつないイビルの声が胸を貫く。

 

「好きなんだ」

 

「行かないで」

イビルの目に涙があふれる。

 

女の手をふりきりイビルの胸に飛び込む。

「イビルさんの傍にいる!」

(ごめんなさい、お兄ちゃん)

エレアの頬にも涙が流れる。

 

「だから泣かないで」

イビルの涙をぬぐう。

 

「エレア!」

強く強く抱きしめる。

 

 

「ふん。恋人を取る・・か。わからんでもない」

剣を鞘からだす。

「エドラスを愛した今ならな」

 

いきなりエレアの髪を掴むと、バッサリ切り落とす。

 

「エ・・エレア!」

叫ぶイビル。

 

  続く

 

 

兄の消息

 

その瞬間まで4人は平和だった。

 

赤ちゃんの物が見たいというアンリたちの為に小さな店に入った4人。

「これどうだ?かわいいぞ~」

「アンリってば。赤ちゃんが産まれるのはまだ先よ」

 

 

幸せそうなアンリたちを眺めていたイビルはふと、エレアの姿が見えないことに気づく。

「エレア?」慌てて探そうとするが

「イビルさん、ここよ」カーテンの陰から出てきた少女にホッとする。

 

「店員さんがこれお勧めって着せてくれたの」

「!!!」

真っ赤になり固まるイビル。

「ママが生きていたころ、こんなドレスを持ってたの。

いつかエレアにあげるっていってたのになあ」

(かわいい・・・)

「似合う?」

コクコクぎこちなく首をふる。

 

「良かった。イビルさんに見せたくて着てみたんだ。じゃあ返してくるね」

「え?買ってあげるよ」

「ううん、いいの!」

「いいよ!よく似合ってるもの。え~と、値段は・・」

 

もう1度固まるイビル。

おずおずと「本当にいいの。1度着てみたかっただけだから」

 

他の客が途切れた瞬間だった。

 

 

「シャラ!」アンリの叫び声。

 

「アンリ?」「シャラお姉ちゃん!」

女がシャラを抱えて飛びすさる。

 

 

「離して!アンリ!」「エドラスの妹、おとなしく付いて来い」

 

「グゥオオオオ!」獣じみた声を出してアンリが女に飛びかかる。

 

「邪魔するのか? 殺すぞ」

「それは俺のセリフだ!シャラを離さねえとぶっ殺す!」

 

女が笑う。

「エドラスにお前の首も土産にしてやるか。妹を攫った商人の首ならあの人も喜んでくれるだろう」

長い爪が女の胸を突き刺そうとする。

直前でかわし剣を振り下ろす。

 

「アンリ!」

イビルが小銃を女に向ける。

 

「やめて!妹は私よ!アンリさんは商人じゃない!私たちを助けてくれたの。

それに、シャラお姉ちゃんはお腹に赤ちゃんがいるの!乱暴にしないで」

 

「何だと?」

女が動きを止めてきょとんとする。

 

「赤ん坊・・、返す」さらっとアンリにシャラを渡す。

「アンリ・・」「シャラ!」

 

「お前が妹?変だな。こっちの女の方がエドラスと同じ匂いがするのに」

「お兄ちゃんは生きているの?」

 

イビルがさっとエレアを抱きしめる。

目が赤く光る。

「渡さない・・」

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

硝子の視線

 

「ここを出る?」

「うん」

 

エレアとイビルはアンリとシャラの部屋にいた。

 

「この星は俺たち雪獣族の緊急避難用のシェルターなんだ。

隠れ家にはいいけど、子供を産んで育てていくには不便だし、万が一襲撃でも受けた時のことを考えたらバラバラに潜伏した方がいい」

 

「シャラお姉ちゃんとも離れるの?」

「ううん。俺たち4人は一緒にいよう。ほかのみんなもだいたい4人ずつで別れる」

 

「他の人たちとはもう会わないの?せっかく友達になれたのに」シャラ

「大丈夫だ。住むところが決まったらちょいちょい行き来するさ。俺がお前に寂しい思いさせるはずないだろ?」イチャイチャ。

 

 

数日後

小型船で人口惑星ガーリアに向かう4人。

 

「人工的な建物ばかりであまり好きになれないなあ。ここに住むの?アンリ」

「まさか。ここで偽の市民証明が手に入るんだ。それがあれば取締りの厳しい星以外隠れ住める」

 

「シャラさんは赤ちゃんが産まれるんだもんな。平和なところがいいね」

「まだ大分先の話よ」真っ赤

「俺がお前と赤ちゃんの為に最高の星を見つけてやるぜ」イチャイチャ

 

「いいなあ」

「え?」

「エレアも赤ちゃん欲しい。どうやったら出来るの?」

ががが~~~ん!!!

 

真っ赤なイビルに「イビルさんと赤ちゃん欲しい」無邪気に詰め寄るエレア。

 

平和な4人にささる無機質な視線。

「あれがエドラスの妹・・。」

かの男のことを考えた時だけ硝子の瞳に炎が宿る。

 

「・・男は殺すか?」1人ごちる。

 

 

続く

 

 

好き・の始まり

 

 

 

イビルは他の仲間たちのように自分に自信がなかった。

女性を奴隷狩りの商人たちから攫って自らの妻にする・・

攫った女性が自分の妻になることを嫌がったらどうする?

女性と話したこともろくにない自分がどんな会話をしていいかもわからない。

 

エレアを初めて見たとき、哀れさと保護欲がイビルを支配した。

守ってあげたい。

妙齢の女性の数が1人足りなかったことに、イビルはかえって安心した。

 

お嫁さんになってくれるという少女。

いつかエレアが大人になるころには、自分も女性ともっとうまく話せるようになっているかもしれない。

なのに魔法の薬でエレアは一足とびに大人になってしまった。

7歳から18歳ぐらいに・・。

 

大人のエレアを見ていると変に胸がドキドキして彼女の横で眠るなんて出来なくて、昨晩はベッドの横で座ったまま寝てしまった。

 

「?」

目が覚めた時エレアの姿がなかった。 

「エレア?」

昨日お兄さんに逢いたいと泣いていた。

まさか1人で探そうとここを出て行った?

がばっと立ち上がると肩から滑り落ちる毛布。

 

エレアがかぶせてくれたらしい。

少し気持が和む。

 

 

 

共同台所から女たちの楽しそうな笑い声が聞こえる。

突っ立って眺める男たちの顔はデレデレ。

「おっ、見ろよイビル。」

 

「イビルさん、おはよう!」

「エレア!」

 

エプロンを付けて朝食を作っている女性たちの中からエレアが出てくる。

ドキッ!

簡素なエプロンのエレアがひどくかわいらしい。

 

「朝ごはん作ってたの」

「作れるの?」

「うん!エレアずっとお兄ちゃんのご飯つくってたもん」

「私よりずっと上手よ;私のはほら・・」

焦げ焦げ。

「俺は焦げが好きだからいいって♡」

アンリがシャラを抱きしめる。

 

 

 

「イビルさんおかわりは?」ニッコリ

ほったらかしだった部屋はいつの間にかきれいに片付いている。

地下から出してきたのか、かわいいカーテンまで掛けられて・・。

 

「おいしいよ」

「嬉しい、良かった」優しい微笑み。

 

後から考えてイビルはこの瞬間に、あらがいがたい恋に落ちたのだと思いだすようになる。

 

 

 

奪いあいエレアサイド6アンバランス

 

無邪気に抱き付くエレアを強引に離す。

「イビルさん?」

「すぐ魔法士を探して元に戻る薬を手に入れよう!」

「いやっ!私イビルさんのお嫁さんになりたくて大きくなったんだもん!」

 

「君はまだ7歳だ。あのね、正式な結婚は16まで出来ないんだよ。親の許しがあれば14からだけど、それでも7年後だ」

「でも体は16~18ぐらいになったんじゃねえ?」アンリがジロジロ。

はっ!「見るな!」

大きな体でさえぎり隠す。

 

「エレア、イビルさんのお嫁さんになる」

「だめ!」

大きな声にびくっとすくむ。

「あ、ごめ・・」

みるみる大きな瞳から涙がこぼれ落ちる。

「び~!!!!!」

「あ~泣かした、泣かした」

「エレア!」オロオロ

「ひっくひっく、エレアお兄ちゃんに会いたい」

「ええっ?」

「イビルさんの所にいても邪魔だもん。お兄ちゃん、お兄ちゃん!、ひっくひっく」

 

急に寂しくて優しい兄に会いたくて仕方がなくなる。

「エレア、俺のお嫁さんになるんだろ?16になったら必ずお嫁さんにするから」

「今なりたい」「でも・・」

 

「とりあえずいいって言っとけ。子供だからそれで納得するって」

アンリがこっそり耳打ちする。

 

(誰が変な薬を渡したんだ!)「エレア、わかったよ」

「本当?」

「ああ、だからね、泣かないで。さあ服を着て」

「嬉しい!」

がばっと裸で抱き付いてきた少女に「うわわわわ~っ!」

今日2度目の雄たけびをあげるイビルだった。

 

 

寝室を分けようとしてまた泣かれてしまった。

2人の寝床で安心したように眠るエレア。

 

どうしてもその横に入れなくてベッドの端でまんじりともできない。

(早く子供にもどさないとまずいって!!!)

明日魔法士のいる星へ行こう!決意するイビルだったが・・・。

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

エレア編・羽化する少女

 

「エレア!しっかりするんだ!」

「どうしたんだ?」

「アンリ! エレアが目を覚まさないんだ」

オロオロ。

足元に転がる魔法の薬の瓶。

それを見て「大丈夫だ。エレアは魔法士の作った大人になる薬を飲んだんだ」

「魔法士の!? あのペテン師っぽい? 何でそんなこと?!」

「イビルを好きだからだろ?  ずっと傍にいたいって言ってたもん」

「す・・好きって・・」

ふいにエレアの呼吸が止まっていることに気づき「エレア!!」

ゆさぶる。

「えっ? あの魔法士、力は確かなはずなのに」

「エレア!エレア!死んだらだめだ!」

涙があふれたその時。

 

エレアの瞼がパッチリ開く。

「イビルさん!」

少女の体が変化をとげる。

 

「エレア!」

「おおっ!魔法の薬が効いたようだな!」

視線を自分の体に落として大きくなった胸をそっと手のひらで包む。

「大人になれたのね。」

ニッコリ。

「イビルさん!」

 

ボー然としていたイビルが一気に真っ赤になる。

「あわわ、ふ・・服を」

「これで私もイビルさんのお嫁さんになれるね!」

 

無邪気に抱き付く。

「うわわわわあ~!!!!」

 

 

               続く

 

魔法の薬

 


朝早く目が覚めたエレアに、イビルが優しく声をかける。 「みんなの所へ行こうか」
急に、同じ村からさらわれた、お姉さんのことが心配になってくる。

「大丈夫だよ。アンリも他の男も。 雪獣族は妻をとても大切にするから」
イビルさんはそう言ってくれたけど・・シャラお姉さんが、お兄ちゃんのことをひそかに好きだったことを、エレアは知っていた。

 

 

 

少し驚いた。
昨日は悲しそうだったお姉さんがとても幸せそうだ。
微笑むシャラにアンリが寄り添う。
他のみんなもとても幸せそう。

「大丈夫だったろ?]
「うん。それに服がとてもきれい」
破れた服を着ていた少女たちが今日はきれいな服を着ている。
「ああ、花嫁を迎えるために、盗んで・・いや、用意してたんだ。
 そうだ!エレアの着替えもいるね。 買ってこよう。 子供の服はないから」

出かけようとするイビルにしがみつく。

「だめっ!服なんていらない。一緒にいて。」
昨日あれだけの商人を殺したのだ。
捕まるかもしれない。
必死な顔のエレアに「わかったよ、行かない」
なだめるように髪をなぜてくれる。

・・・
イビルの目を盗み、アンリを追いかける。
「大人になる薬?」
「うん。 アンリさん、昨日大人になれる薬があるって言ってた」
「たしかにあるけどよ。 お前飲むの? 」
「大人になりたい」
「イビルのやついいって言ってたのか?」
首を横にふる。
「でも、大きくなってお嫁さんになって、イビルさんとずっと一緒にいたい」
まだ恋とも言えない無邪気な想い。
「ん~、まあいいか。あいつ怒るだろうけど」
アンリは綺麗なガラスの瓶を渡してくれた。

苦い薬がのどをつたったとたん、眩暈がして意識が沈んでいく。
(お兄ちゃん・・ごめんね)なぜか兄が悲しむ顔が浮かぶ。
(イビルさん、お姉ちゃんみたにきれいになるからお嫁さんにして?)

「エレア!!」
イビルさんの声が遠くで聞こえる。

ふるえる手で抱きしめられた瞬間、体が燃えるように熱くなり、体が変化していくのを感じた。


 

 

続く

奪い合い・エレアサイド3・小さな胸で

雪獣族と名乗る若者たちに連れ去らわれた少女たちは、ソリから小型船に乗りかえて、そこから遠くない小さな星に連れてこられた。

「俺たちの星だ。奴隷狩りの奴らのレーダーにも映らないように細工してある。ここにいる限りもう安心だ」

大きな洞穴の中でそれぞれバラバラにされる。

「明日、歓迎の宴をするぜ。今日は新しい夫のしとねでゆっくり休め」

「ちょうど妻の数が俺たちの数と合って良かったな」笑いあいながらそれぞれ散っていく。

「行こうか、疲れただろ?エレア」

「待って!その子はまだ7歳なんです。あの・・」

「お姉ちゃん」

「知り合い?」

 「うん。同じ村からさらわれたの」

「そうか。大丈夫だよ。俺はこの子が大きくなるまで何もする気はない」

「なんだ、ロリコンかと思ってびっくりしたぜ」「アンリ!」

「俺はこーんなかわいいお嫁さん見つけたぜ!一目ぼれしたんだ」

お姉ちゃんを抱きしめたアンリと呼ばれた人が嬉しそうに言う。

「ロリコンじゃないんならあの薬のませんのか?」

「あんな妖しい魔道士の薬のませないよ!」

「え~、すぐ妻にできるのに」

「俺はそんなつもりでこの子を連れてきたんじゃない!」

「薬・・?」

 

「寒くない?」「うん」

(その薬を飲んだらすぐにイビルさんのお嫁さんになれる?)

温かい胸に抱かれながらエレアはいっぱいいっぱいに考えていた。

 

奪い合い・エレアサイド2・温かい胸
奪い合い・エレアサイド2・温かい胸

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピー!

ふいに甲高い口笛の音がした。

「仲間の合図だ!目をつむって。君は見ない方がいい。

隅にいるんだ」

男の青い目が、赤く変わる。

「待って!」思わずひきとめようとするエレアに

「大丈夫だよ」ニッコリ。

何故か安心感が湧いてきて素直に目をつむった。

 

 

あっという間の出来事だった。

布をまとった男たちが乗り込んできて、商人たちを銃で一掃するまで。

 

「俺たちと来るんだ、お嬢さんたち」

恐怖に逃げようとする少女たち。

「奴隷にするつもりはない、俺たち雪獣族の妻にする女を奪いに来ただけだ。

俺たちは一夫一婦制だ。大切にする。」

 

次々、そりに少女たちを運び込む男達。

エレアに近づく優しい男。

「俺はイビル。君は?」

「エレア」

 

「おいおい、イビルそんなチビじゃ、すぐに妻に出来ないぞ」

「エレア、一緒に行こう、俺が守るから」

「うん!」

 

「寒くないかい?」

「うん!」

大きな胸が温かい。

エレアは本能でイビルが自分を一生守ってくれることを悟っていた。

2・2
2・2

奪い合い・エレアサイド

 

 

ガタッ

「どうした!」

「雪嵐で車輪がストップしたようだな」

 

生まれてからずっと、兄と暮らしていた小さな星が、突然、奴隷狩りにあったのは昨日のこと。

幼いエレアは兄と無理やり引き離され、様々な場所から狩られてきた女たちと共に奴隷輸送車に乗せられていた。

 

「ちっ、しばらく動けんな」

「いいじゃないか。楽しもうぜ。 女たちを味見してから売っぱらえばいい」

 

女たちの悲鳴と男たちの怒声、いやらしい笑い声。

エレアは小さくなって震えていた。

「何だ?こんなチビもいるのか?一応14歳以下の奴隷の売買は禁止だろ?」

「ガキがいいって変態もいるんだよ。 闇で売りさばく」

 

(お兄ちゃん・・お兄ちゃん)エレアはそおっと出口へ向かおうとする。

 

しかし、戸に手が届く1歩手前で、抱き上げられる。

「離してっ!いやあ!」

「どうしたっ」

「なんでもありません」

「お兄ちゃん助けてえ」ジタバタ

いつもエレアを助けてくれたたくましい兄はここにはいない。

わかっているのにエレアは何度も呼ぶ。

「しいっ、今逃げようとしたら、見せしめに必ず殺される。静かに」

温かい声。

「?」

非情なはずの奴隷商人・・、しかし何故か彼の眼は温かい。

「隅に行こう。君は見ない方がいい」

優しい声に今までこらえていた思いがほとばしる。

自分が足手まといにならなければ、きっと兄は逃げられた。

眼の前でなぐられ引きずられていく兄。

何よりも大切だったお兄ちゃん。

むせびなく少女を抱きしめオロオロ優しく髪をなぜる男。

 

この男と、兄よりも深いつながりを持っていくことになるとは、その時、幼いエレアは思いもしていなかった。