その後の死んだ人たちの集会
作者 愛ちん
ページ数 1
種類 イラスト
大ジャンル 一般
中ジャンル 恋愛,ホラー/恐怖体験,ヒーロー/ヒロイン
投稿日 2014年10月07日
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作品紹介讃美歌が終わり
ロウソクの火が消え

暗闇に
いっせいに立ち上がる死んだ人たちの気配がする

後少し
教会の出口の扉まで

もう少しで手が届く!
震える手が扉にふれる、その一歩手前で

ザザザと

死者たちの
ポカンと開いた真っ黒な眼窩が私を取り囲み睨む

のばされた手に
次々にマントを掴まれて

「もうダメ!」と
目をつぶった時

優しい光りのなか
夫の笑顔が見えた・・・



知人の紹介で結婚した夫は

とても優しい人

なのに私は男性が苦手で
優しい手におびえるばかりだった

優しい優しい人
困った笑顔で手を引っ込めた人

私は毎日のように教会に通い祈っていた

優しい旦那様と幸せな夫婦になれますように
赤ちゃんもほしい

でもどうしても
怖くって



マントをいくつもの手に引かれ
首が反り返る

いいえ
私はあの人の元に帰らなければいけない
私が死ねば、あの人は悲しむわ
優しいあの人はきっと自分を責めてしまう

あの人の心臓の音を、私はまだ知らない
私は帰る!

優しい旦那様の元に


マントを脱ぎ捨て教会を飛び出て
暗闇の中をただ、ただ、走った

倒れそうになりながら家に飛び込み
止まっていたはずの時計の音を聞く

夜中の一時半

私はそのまま夫の横に潜り込み
朝まで震えていた





おびえる私に驚き、優しく抱きしめてくれた人の
心臓の鼓動が頬につたわり

怖かったと甘えてしがみつく

髪をなぜる大きな手が
優しくて

この手は

あの時私をつかもうとした
あの冷たい手とは違う

私の鼓動
この人の鼓動

生きてる、私
そしてずっとこのまま
2人で生きてく



もう2度と行けないと思った教会に
旦那さんとなら通えるようになった

温かい手が私を包むから

この人と一緒なら
あの夜の死んだ人たちのように
夜の教会に通うことになっても
手を取り合って
きっと幸せだと、

見つめたら見つめ返され

優しい光が
2人を包み込む気がした


奥さんも旦那さんも
その後、
自分たちが街で一番の仲良し夫婦と噂されていることに
気づくことは、ありませんでした

その瞳は、すぐそばの愛する人だけをいつも見つめていたからです



お終い


いつもこころよく、オリジナルのその後を書かせていただく
福娘様、ありがとうございます!
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