おまけのその後のトゥルーデおばさん

 

暗い森に雨が降り

ゆり椅子から立ち上がることもなく
トゥルーデおばさんはチラリと窓の外に視線を向ける

古びた小さな教会では
娘の両親が何日も祈り続けていた

長年子供に恵まれず
やっと出来た愛娘を
1度もしかることもなく
甘やかしほうだいにしたこと


どんなわがままな願いも叶えてあげようとして

娘の一生を台無しにしてしまった

あの時
あの娘は本当は止めてほしかったのではないか
本当は叱ってほしかったのではないか

何故、無理やりでも止めようとしなかったのか
何故、追いかけて、引きずってでも家に連れ帰らなかったのか

せめて娘の魂は天国へと、
祈り続ける両親



いつからだろう


お手伝いなんていいよ
お前の白い手を汚さなくていい

欲しいものは何でも買ってあげる
私たちのかわいい娘

いつからだろう
そんな両親をイライラした目で見るようになったのは

私はこの人たちのかわいく着飾らせる人形?
ニコニコ笑いながら私と真剣に向き合おうとしない両親

その空虚な笑顔に私の心は殺される気がした

最後に見たトゥルーデおばさんの笑顔
父と母の私を見る時の笑顔

 

私は
最後まで
その違いを
見つけることができなかった


それでも
もしもう1度やり直すことができるなら

いい子にはなれないけれど

自分の足で立ち上がりたい

自分の意志で
自分の心のままに
生きていきたい

誰にもとらわれず



窓の外を束の間ながめていたトゥルーデおばさんは
つまらなそうに細い目を閉じる

「神とかいうものの側に行ったようだね」

何日か、暗い森にうずくまっていた娘の魂が浄化したと知る

両親の祈りの力か
娘が高い空を見上げる力を取り戻したからか

(人間というものはなぜいつも、ことが起こってから後悔するんだろうね)
やり直す機会などいくらでもあるのに
取り返しがつかなくなってから、本当の後悔をする

魔女であるトゥルーデおばさんにはどうしても理解できない人の愚かさ
それでいて惹かれるところでもあり

愚かな人間の光は魅力的で

また誰かがやってきたら暖炉の火にくべてその光をみたいと

つまらなそうな顔をしていたトゥルーデおばさんが
ふと
嬉しそうに笑った



お終い


今回も快く、その後の物語を書くことを承諾してくださった福娘様ほんとうにありがとうございます

作者 愛ちん
ページ数 1
種類 イラスト
大ジャンル 一般
中ジャンル ホラー/恐怖体験,ヒーロー/ヒロイン
投稿日 2013年07月31日
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