お花とごんべえ

昔々、幼馴染で仲良しのお花というキツネと、ごんべえというタヌキがいました

 

2匹は化けるのがとても上手です

ある日行きあった2匹

どちらが化けるのが上手かという話になって・・

私が勝つにきまってるじゃない

ムカッ

 

2匹は後日、化け比べをすることにしました

くそ~、お花のやつ!

でもお花はすごい美人に化けるんだっけ

俺じゃあ、花嫁には化けられないし

そのころお花は、セッセと化ける練習です

これで決まり!

勝負の場所へ向かいます

いい匂い・・

見るとそこには好物のお饅頭が!

まだごんべえは来ていないわね!

いただきます!

ニヒヒ

バーカ!

俺だよ!

お花は泣きながら逃げてしまいました

 

 

 

お終い

おまけのその後のお花とごんべえ ーお花のみハッピーエンド編ー

 

(仲直りしなかった編)



ごんべえに化かされて笑いものにされたお花は、ただ情けなくて悔しくて神社の階段を
すべるように走って降りた

下までもう少しという所ででつまづきよろける
さっと支える腕

見たこともない若いきつねがニッコリ笑う
「どうしたの?」
さっきまでくやし涙を流していたほっぺたが赤く染まり・・

彼は隣村のキツネだという
涙を流していたお花を優しくいたわってくれる

お花の心からはすっかりごんべえのことは消えていた

1か月後
お花が遊びに来るのをじりじり待っていたごんべえ
ちっとも遊びに来ないお花
寂しいけど意地っ張りなごんべえはなかなか自分から会いに行けない

「なんだよ!化け比べで負けたくらいで!」

じりじりしながら3か月

とうとうごんべえは、お花の好きな花を持って会いに行く決心をする
会えない間に幼馴染のお花がどれだけ大切か思い知る

(キツネとタヌキじゃ結婚なんて許されない・・でも好きなんだ)

キツネの村につく

パラパラと晴れているのに雨が降ってきたことに気が付く
(誰かお嫁に行くのか?)
晴れているのに雨が降る日は、キツネの誰かがお嫁に行く時だ

(でもキツネ村には若い女の子はお花ぐらいしか・・・)
ハッと走り出す

「お花!」

花嫁行列の1番前
幸せそうに微笑むお花とその手を取る優しく微笑むキツネの若者

冷たい雨が固まるごんべえに降りかかる

サラサラ降る雨の中2人の周りだけがまぶしいほど明るかった


御終い

完全ハッピーエンド編

ごんべえに化かされて笑いものにされたお花は、ただ情けなくて悔しくて神社の階段を
すべるように走って降りた

残されたごんべえは途端に後悔する
お花の涙が切なくて慌ててその背を追う

「お花!」石階段の中ほどで追いつき饅頭を渡す
「お花と食べたくて買ってきたんだ(葉っぱのお金で)仲直りして食べよう」

いやしんぼのお花は途端にニッコリ微笑む

2人は次第に暮れて、星のチラチラ出てきた空を眺めながら仲良く饅頭を食べた
お花の照れた笑顔がかわいくて
ずっと守りたいと思う

それから・・・

お花は遠い村のぼんぼん狐に嫁入りが決まる

太陽が照る温かい雨の中

ごんべえは花嫁姿のお花の手をしっかり握り走る
2匹の目の前には祝福するように大きな虹がかかっていた

人間の姿に化けたお花とごんべえは年寄りばかりの里村で歓迎され夫婦になる

それから

言うまでもなく
いつまでも幸せに暮らしました



御終い

駆け落ち後のお花とごんべえ

 

 

雨上がりの澄んだ空気、庭に満開のアジサイの葉の香りが、2匹・・
今は人に化けている2人を包み込む

「いい人ばっかりだね」
「ああ、家も紹介してもらったし、すぐに暮らせる道具もくれた」
「掃除もしてくれたし、ご飯もたくさん届けてくれた」

強く降り出した雨をしのぐために、2匹は里山の古いお堂に入り込み、
人の近づく気配に、慌てて人間に化けた

駆け落ちして逃げ込んできた若い夫婦・・
年寄りばかりの村人たちは、にわかなことに驚き集まり、2人が行くところがないと知ると、この村で住むことをすすめてくれた

誰も住むこともなくなった古い家を紹介してくれて、みんなで掃除をして、生活にいるものを持ち寄ってくれて

最後まで残っていたおばあさんを家に送り、今、月の明かりの下、2人きりになり・・

「俺たちこのまま人間の姿でいるのか?」
「私、ここの人たち大好き。それにキツネとタヌキじゃ赤ちゃんもできないし・・」

ハッと

真っ赤に染まったごんべえの顔

お花も自分の言葉に真っ赤になってうつむく

幸せな甘い気持ちが2人を満たして

月明かりに白く浮かぶお花の手に
そっと手をのばすごんべえ




お終い